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山口看護師

現役看護師が民間救急に同乗して感じた事

例えば急性期病院から療養病院へ転院、病院から自宅へ退院という時、特に寝たきりの患者さんなどは民間救急を手配することって多いです。

 

この私も数回ではありますが、民間救急に同乗させて頂いたことがあります。では民間救急に同乗して感じたエピソードをここで紹介します。

1病状は安定しているけれど家族の不安から同乗したエピソード

→状況は様々な場面がありますが基本民間救急を利用する場合は具体的にどのような場合か・・・。

例えば酸素を使用している人、また痰がらみが多く、頻回なペースで吸引が必要で、痰貯留により酸素がすぐに低下したり、酸素化が安定しない人。

こういう人は間違いなく看護師が同乗して車中でも何らか対処をしないといけない方です。

何らか医療行為が必要な人という訳です。


以前私が民間救急ーに同乗し、対応したとある男性患者さんは寝たきりで意思疏通はあまりとれないのですが、病状そのものは安定していて、移動中の医療行為は敢えて不要な方でした。

では何故看護師が同乗したかというと・・・それは家族の娘さんからの強い希望があったからでした。

そして同乗して改めて感じたことがありました。

それは家族の方と看護師の感覚の決定的な違いが改めてあると感じたことでした。

民間救急での移動時間は約1時間。

「看取り」寝たきりの方の外出 在宅介護 支援 民間救急事業所

娘さんはよく話す方で移動中も、自分の介護に対する思い、病院に対する思い、色々私に話してきました。

入院前は介護を1人でされてきた娘さん。

某大学病院から療養病院への移動手段で民間救急を利用しました。その車内で出てきた話。

娘さん:「私1人で自宅で見るのは本当に大変だった。」

「父は今はこんな感じですが、昔は厳しい人だった。」

「まだまだ長生してほしいのです。」

などと介護に対する娘さんの思い、それまで苦労したことなどを多々話しており、私も患者さんを見つつ、娘さんの話もじっくり聞いてやりとりをしていました。

病状が安定していた為、移動中もこれといった処置はなく、無事に目的地へ到着。これに 同乗してみて改めて感じました。

介護に一生懸命で家族思いな人であればあるほど、いざという時の不安が強くなるもの。

本来は看護師が同乗不要なレベルでももし移動中の1時間の間に何かあったらどうしよう、いくら大丈夫であろうと言われていてもやはり不安だから、どうしても付き添ってほしい、恐らくそんな思いがあったのだろうと思いました。

そして実際、移動中も患者さん自身は特変なかったのですが、 娘さんからすれば介護に対する自分の思いを誰かに色々聞いてもらいたい、そんな思いもあったのだろうかなととれました。

当時の私の感覚だと実質たった1時間の付き添い、でも家族からすればたった1時間でなく長い1時間、もし何かが起きたらどうしようかという1時間・・・

娘さんからすればそういう捉え方だったんだろうなぁと思うのです。

改めて感じたのですが、看護師をずっとやっていると看護師ならではの独自の感性が生まれたりします。

このレベルなら大丈夫、このレベルは注意という感覚。

長年看護師をやって経験が長ければ長いほどこれは当てはまるのではないかと感じました。

看護師独自の感性にどこか慣れてしまい、それが当たり前と感じてしまうような感覚です。

そう思うと看護師という立場を時にはどこかリセットして、冷静になり思考をもう広めもっと幅広い視野からものを見ないといけないと考えさせられるのです。

付き添いの要する数分~1時間など、その僅かな時間でも家族の方が安心できるようなサポートが今後も大事にして行きたいと改めて感じました。

2頻回に痰吸引している状況にも動じない家族

簡単に①の内容は医療処置不要な患者さんでしたが家族の強い希望から同乗した内容。

今回はエピソード2全く真逆の内容です。
男性患者Aさんは、寝たきりで意思疏通はほとんど図れず。又痰がらみがあり、移動中最低1回は吸引が必要な状態という申し送りでした。

家族は長女さん、次女さんが同乗しました。介護タクシーで目的地へ向かいます。出発して10分経過した所で早速ゴロゴロと痰貯留の音が・・・。

(はい、即吸引の出番!)多量に痰がひけました。出発前の吸引も病院でしてもらいましたが、介護タクシーに移動してからも早々に吸引でした。そして1回目の吸引からわずか10分後に又痰がゴロゴロ。

(はい、2回目の吸引開始!)
そう、こんな状態で1時間の間に6回は吸引してます。

これだけ痰が多いと何が怖いかというと痰詰まりを起こしやすいのです。痰詰まりで一気に停酸素となり、それで亡くなるリスクがあります。

同乗していた長女さん、次女さんは割と冷静で「痰が多いわね。」と話す程度で淡々としている雰囲気でした。

病院にいた時もこういう光景は何度も見ていて、ある意味見慣れているのか、これも仕方のないことと冷静に受け止めているのか、そこはわかりませんが、とにかく動じるような家族ではありませんでした。

では1の患者さんの家族と比較してみましょう。間違いなくいえるのは真逆の家族のタイプですよね。この患者さんの家族がもし①の家族なら心配で心配で仕方なく、移動中も常にハラハラしていて、不安の訴えが間違いなく強かったと思うのです。

患者さんだけでなく、家族にも色々なタイプの方がいる、見方、受け止め方が全く違う、改めて感じました。

介護タクシーにほんの数時間付き添うだけで、気づかされることが沢山あります。
短時間であろうとこれも、一期一会であると思います。色々な場所で新しい看護師としての経験ができる、そう思うと看護師の仕事は奥が深いとそう感じました!

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